[温泉街] 千代田桃 : (さて……)

[温泉街] 千代田桃 : 1人、温泉街を歩く。

[温泉街] 千代田桃 : (なるほど、川の周囲を温泉宿が並列している感じか……普段はスパ銭にしか行かないから、新鮮)

[温泉街] 千代田桃 : (……まずは軽く土産物でも見ようかな。何か面白い物があると良いけど)

[温泉街] 千代田桃 : 湯気立つ、騒がしい温泉街の中にある一見の土産物店を選ぶ。

[温泉街] 千代田桃 : 店内は郷土の雰囲気に溢れる、どことなく温かい内装だ。定番の温泉まんじゅうや温泉卵、温泉で使用出来るタオルなども売られている。

[温泉街] 千代田桃 : 「土産……」

[温泉街] 千代田桃 : 「自分への……って事で良いかな」

[温泉街] 千代田桃 : (だんごに出汁……出汁?料理とかしないしな……即席で食べられるものがいいよね)

[温泉街] 千代田桃 : 土産物の菓子や名産の品々を、あれでもないこうでもないと手に取りながら考える。

[温泉街] 千代田桃 : 「……とりあえずこれと……」

[温泉街] 千代田桃 : 「ラ・◯ランスは戻っても買えるし……これとか良いかな」

[温泉街] 千代田桃 : (樹氷ロマン……ホワイトクリームの入ったクッキーか。余り甘いものは摂らないけど、たまにはね……)

[温泉街] 千代田桃 : 実は内心、温泉街にウキウキしている。

[温泉街] 千代田桃 : 「すいません、お会計お願いします」

[温泉街] 千代田桃 : 「……だんご」

[温泉街] 千代田桃 : 「あ、いえ。ええと……すいません、そこの団子を一つお願いします」

[温泉街] 千代田桃 :  

[温泉街] 千代田桃 : (……買ってしまった)

[温泉街] 千代田桃 : (何処か座って食べられる所……あ)

[温泉街] 千代田桃 : 足湯がある。
川に沿って整備された通路の縁に、少し堀がありその中には足を入れれば身も温まるであろう湯が満ちている。

[温泉街] 千代田桃 : 「……まだ時間もあるし、少しだけ」

[温泉街] 千代田桃 : 足湯にはまばらに客は居るが、気にする程ではない。
むしろ、自分がこの温泉街と一体になっているかのようで心地良さすらあった。

[温泉街] 千代田桃 : 荷物を縁に置き、靴とソックスを脱いでいく。

[温泉街] 千代田桃 : 「んしょ……」

[温泉街] 千代田桃 : 足の付け根が湯船に触れると、ピリっとした軽い刺激が走る。
今まで外気に触れていた皮膚が、温泉に段々と馴染んでいく。

[温泉街] 千代田桃 : そのまま、膝までを湯に沈め……

[温泉街] 千代田桃 : 「ふぅ……」

[温泉街] 千代田桃 : 瞳を閉じ、しばしその温もりに身体を預ける。

[温泉街] 千代田桃 : (誘われてやって来てみたけど……やっぱり、こうして1人で居るのが気楽)

[温泉街] 千代田桃 : (しばらくはここでゆっくりしていよう……)

[温泉街] 千代田桃 : 真っ暗の視界の中、耳からは通りすがる人々の声が聴こえる。

[温泉街] 千代田桃 : 他愛もない、取るに足らない会話だが……耳を傾けるのは、不思議と嫌いではなかった。

[温泉街] 胡桃 : ……その声たちの中に、何故かよく聞き馴染みのある声が混ざる。

[温泉街] 千代田桃 : 「……胡桃さん?」

[温泉街] 胡桃 : 「……あーー……ほら!あそこ!バレないようにこっそり近づかないと!」

[温泉街] 千代田桃 : 閉じていた目を開き、背後を振り返る。

[温泉街] 胡桃 : 「うげっ」

[温泉街] 院田唐音 : 「ってもうバレてるじゃない!!」

[温泉街] 胡桃 : 「唐音が騒ぐからー!」

[温泉街] 院田唐音 : 「私のせいなの!?」

[温泉街] 千代田桃 : 「……胡桃さんの声がよく聴こえた、とだけ言っておこう」

[温泉街] 胡桃 : 「ひえぇ、それはそれは地獄耳なことで…」

[温泉街] 院田唐音 : 「ほら、やっぱりアンタのせいじゃない」
となぜか偉そうにする

[温泉街] 胡桃 : 「うぐっ……まぁ、私みたいに皆聞き惚れる声ならしょうがないかぁ」

[温泉街] 胡桃 : 「んで、桃は何やってんの?敵地偵察?」

[温泉街] 千代田桃 : 「お土産を買って……後は見ての通りかな」

[温泉街] 千代田桃 : そう言って、目線を足元へ下げる。

[温泉街] 院田唐音 : 「なるほど足湯かぁ…」

[温泉街] 胡桃 : 「いいねぇ、一度やってみたかったんだそういうの」

[温泉街] 千代田桃 : 「まだスペースは空いてるから。良ければどうぞ」

[温泉街] 院田唐音 : 「じゃ、お言葉に甘えて失礼するわ」

[温泉街] 千代田桃 : 「ん」

[温泉街] 胡桃 : 「はーい……おっとっと」
手を引かれるまま唐音の隣に。

[温泉街] 胡桃 : 「んー……でもさぁ、こんないいトコあるなら最初から私らも誘ってくれればよかったのに」
靴と靴下を脱ぎながら、桃の方を向いて

[温泉街] 千代田桃 : 「いや……1人で歩いてたら見つけただけだから」

[温泉街] 胡桃 : 「ですってよ唐音婆さんや、わしらもう厄介者なのかねぇ」

[温泉街] 院田唐音 : 「そ、そうなの……って誰が婆さんよ!!」
厄介者という言葉に少し悲しそうな顔をするも次の瞬間には何か怒ってる

[温泉街] 千代田桃 : 「……ふふ」

[温泉街] 千代田桃 : そう言って、もう一度瞳を閉じる。

[温泉街] 千代田桃 : 胡桃と院田の声を聞きながら。誰かが近くで話しているというのは……嫌いではない。

[温泉街] 胡桃 : 「ふふふ……んっ、ふぃぃ……」

[温泉街] 胡桃 : ざばぁ、と湯の中に足を広げる

[温泉街] 胡桃 : 「生き返るねぇ」

[温泉街] 院田唐音 : 「ほんと…いいところね…」

[温泉街] 胡桃 : 「うん。なんというか長閑で……街の喧騒からは無縁の空間というか」

[温泉街] 胡桃 : 「……でも同時に、ここにいる人たちの息遣いの中にも身を置いているような……そんな、不思議な感覚」

[温泉街] 院田唐音 : 「なかなか詩的ね…何となくわかるわその気分」

[温泉街] 胡桃 : 「あらあら。唐音に理解してもらえるとは嬉しいぞよ」

[温泉街] 胡桃 : 浸かった足の指先で不意に唐音の足裏をくすぐる。

[温泉街] 院田唐音 : 「ひゃっ!?ちょっ…何してるのよ!」

[温泉街] 胡桃 : 「むへへ、こちょこちょ〜〜」

[温泉街] 院田唐音 : 「待っ…やめ……ッ」
身悶えして逃げようとする

[温泉街] 胡桃 : 「うりうり、逃がさないよ〜」

[温泉街] 胡桃 : がしり、と両手で唐音の身体を包み込む

[温泉街] 院田唐音 : 「なあっ!?アンタ何して…」

[温泉街] 院田唐音 : ジタバタと暴れる

[温泉街] 胡桃 : 「いひひ」
目を細めて。

[温泉街] 胡桃 : 唐音の足裏を執拗に小さくなぞる。

[温泉街] 院田唐音 : 「あっ……あひゃっ…」

[温泉街] 院田唐音 : 変な声が出たことに耳を赤くし…

[温泉街] 院田唐音 : 「いい加減にしろーーーッ!!!」
と片手ダンプできる女性と匹敵する筋力で胡桃を突き飛ばす

[温泉街] 胡桃 : 「あはは、あー面白………ふぎぃっ!!?」

[温泉街] 胡桃 : どたーん。

[温泉街] 院田唐音 : 「あっ……胡桃!?」
慌てて起こそうとする

[温泉街] 千代田桃 : 「……大丈夫?」

[温泉街] 院田唐音 : 「だ、大丈夫…!?」

[温泉街] 胡桃 : 「あっ、あはは……」
よろよろと起き上がる

[温泉街] 胡桃 : 「いやー、一瞬あの世が見えたねぇ……」

[温泉街] 院田唐音 : 「ご、ごめんね…私……そんなつもりじゃ…」
オヨオヨしながら

[温泉街] 胡桃 : 「ううん、ゴメンゴメン……やりすぎちゃったのは私の方だし。唐音の反応が可愛くってつい」

[温泉街] 院田唐音 : 「……は、はぁ!?誰が可愛いって…」

[温泉街] 胡桃 : 「えへへ」
無邪気に微笑んで。

[温泉街] 院田唐音 : 「そ、そんなこと言われても嬉しくなんかないんだからね!!」

[温泉街] 胡桃 : 「あははは、そういうトコがまた可愛い」

[温泉街] 院田唐音 : 「~~~~ッ!!」
顔を赤くする

[温泉街] 胡桃 : 「んふふ……でもすごいね、足湯なのにすっかりのぼせちゃったかな」
ぱたぱたと足を振る中で、自らの顔も少し赤らんでいることに気づかない。

[温泉街] 胡桃 : 「桃も邪魔しちゃったかな……ごめんね?」
首だけこてん、と向け。

[温泉街] 千代田桃 : 「ん、良いよ。賑やかなのは嫌いじゃない」

[温泉街] 千代田桃 : 「まぁ……怪我はしないように、とだけ」

[温泉街] 胡桃 : 「は〜〜い……今ので思い知りましたよう」

[温泉街] 院田唐音 : 「……流石にちょっと上がるわね」
顔の赤みを残したまま足湯から上がる

[温泉街] 胡桃 : 「ん……そだね、時間もそろそろいい感じなんじゃない?」
後ろの広場にある時計をぶらんと仰ぎ見て。

[温泉街] 千代田桃 : 「夕食の時間まで……」

[温泉街] 千代田桃 : その声を聴き、自分もスマホを確認する。

[温泉街] 胡桃 : 「どう?」

[温泉街] 千代田桃 : 「……そろそろ戻った方が良い、かな」

[温泉街] 院田唐音 : 「もうそんな時間だったのね」

[温泉街] 千代田桃 : 脚を湯船から引き上げる。寒気に触れた肌だが、湯船でコーティングされ気温を物ともしない。

[温泉街] 千代田桃 : 2人の声を聴きながら食べたお団子のケースを併設されているゴミ箱に捨て……

[温泉街] 千代田桃 : 「それじゃ、戻ろうか」

[温泉街] 院田唐音 : 「わかったわ」

[温泉街] 胡桃 : 「はいは〜い」

[温泉街] 胡桃 : タオルで拭いた足をきゅ、と靴下に嵌めながら。

[温泉街] 千代田桃 :